アマルガムは体に残留する

死亡解剖により、歯の修復にアマルガムを用いた個人の体内組織において、2~12倍もの水銀が様々な体組織から計測された。[2-21]

動物実験によれば、アマルガムを歯科医療に用いると、体組織中の濃度も有意に上昇するということがわかっている[22-28]。

口腔内のアマルガムは微生物により有機水銀に変化する

歯科医療で用いられたアマルガムによる水銀(Hg)は、(体にとって有毒性が低い無機水銀だから安全という意見があるが、)人体の消化管に存在する微生物により有機水銀化合物に変質することがわかっている[29-31]。

レステヴュオらによると、歯科医療にアマルガムを用いた個人の唾液からは、そうでない個人のそれと比べて3倍ものメチル水銀の濃度が検出された。

両グループの、魚介類の消費頻度や種類について差はなかった。[30]

水銀は神経や脳を破壊する

カタツムリの脳神経細胞を培養して、そこに水銀を入れたら、神経の増殖が止まり、逆に退行した。
無機水銀濃度が0.02 ng Hg/gを超えると、細胞内の微小管が完全に破壊され、軸索変性が引き起こされた[32]。

神経の退縮を記録したビデオ

36 ngHg/gに達すると、酸素化ストレスが増加し、更に細胞ダメージが起きた[33,34]。

大量のアマルガムが用いられた動物実験では、体内で発生する量の水銀蒸気を吸引してから14日後に脳内で病的変化が発生することが確認された[35,36]。

アマルガムは体の水銀濃度を高める

近年の剖検調査では、12個以上のアマルガムによる詰め物をした個人は、脳を含めた様々な細胞組織において、同様の詰め物が0~3個の個人に比べて10倍以上も水銀濃度が高いということがわかっている[11]。

EU諸国の国民のうち、12個以上アマルガムの詰め物をしている人の脳内水銀の平均値は300 ngHg/gとされる[11]。
これは、in vitroで毒性があるとされる濃度(0.02~36 ngHg/g)を大きく上回っている。

また別の剖検調査において、10個以上アマルガムの詰め物をしている人は、腎臓組織において504ngHg/g、肝臓では83.3Hg/g(0~2個の個人は17.68 ng Hg/g)を記録している[5]。

甲状腺及び下垂体の水銀濃度はそれぞれ55 、200 ngHg/gとなっており、これらの数値はアマルガムを用いた詰め物の数と有意に相関があると言える[37]。

こうした研究で報告された数値は平均値にすぎないため、標準偏差を鑑みれば、アマルガムを歯科医療に用いた個人のうち相当な人数が、毒性レベルの倍以上の水銀値を保有していると考えられる。

さらに、ミクロソームやミトコンドリア、その他の細胞分画における水銀量でさえ、サンプルの平均数を上回っていた[38]。


「歯科アマルガムは人体にとって安全か?」
Is dental amalgam safe for humans?
The opinion of the scientific committee of the European Commission
より、一部を抜粋、翻訳

参考文献:

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