麻布なかすじデンタルクリニック

院長 仲筋宣子 スペシャルインタビュー

画像の説明

平成7年 明海大学歯学部卒業
ミナミ歯科クリニック勤務 南清和先生に師事
平成15年 麻布なかすじデンタルクリニック開業
日本顎咬合学会認定医
日本アンチエイジング学会認定医
日本歯科審美学会会員
サプリメントアドバイザー
ビューティーアドバイザー

医科歯科連携診療普及協会の評議員である麻布なかすじデンタルクリニック院長仲筋宣子先生に、実際に医科と歯科の連携診療をいち早く取り入れ、診療を行ってきたこれまでの経緯をインタビューしてきました。医科と歯科の連携における醍醐味、やりがい、問題点、そして今後の展望などについて伺いました。

「全身疾患の氷山の一角としての口腔疾患」

医科と歯科の連携に関して、どのような診療・治療をされていますか?

アマルガム除去と、慢性炎症の温床となっている歯周病と根尖病巣の治療とガルバニー電流対策やアレルギー対策としてのメタルフリーへの環境改善です。金銭的な負担がかかるメタルフリーへの治療は、最終的にどこまでなさるかは患者さんにご希望を伺い決めていただきます。

医科の先生から歯科治療を委託された場合、歯科的な視野のみでなく、全身的な観点から患者さんに口腔疾患についてご説明させて頂いています。例えば、「先生、虫歯ありますか?」「はい、あります」だけでなく、全身的な事、例えば消化器内科からのご紹介であれば、消化器症状と関連させて「根本的な原因があり、その一部として消化器症状としてはこう、口腔内症状として虫歯として表れています。」などと説明しています。つまり根本的な原因があり、各臓器に諸症状として表れているということです。全身は繋がっていますから、その入り口が口腔でそこにトラブルがあればストレートに全身に影響するのは当然なのです。


「一番は母を助けていただいたこと。そして、この水銀の問題をクリアしなければ、先に進めない根本の問題だと思った」

アマルガム除去はいつ頃から取り組んでいますか?現在の診療に至る経緯を教えてください。

アマルガムに対する現在のような認識ができたのは、宮澤先生との出会いでした。また、更にさかのぼること5年程前から栄養指導として取り組んでいました。亜鉛やビタミンCなどを取り入れた治験や栄養指導、サプリメント処方などです。院内で栄養セミナーや院内勉強会などを開催しスタッフ全員で取り組んでいましたが、なぜか私だけが効果が実感できなかったのです。体調不良が拭えず、効かない理由を探し求めていたところ、高濃度ビタミンC点滴をトライしようと思い、受講したのが宮澤先生の学会でした。そこで分子栄養学の存在を知って、分子栄養講座第一期を受講したのです。

その栄養講座で自分自身の生化学検査・毛髪検査・遅延型アレルギー検査など一通りやった結果に愕然としました。自分自身含め水銀問題の重要さに初めて気づきました。水銀問題つまりアマルガムの怖さを知った時にすぐ母の事を思い出しました。私を産んだ頃から、原因不明の体調不良に悩まされている話に結びつきました。すぐに口腔内を確認したところ、案の定アマルガムが入っていたのです。そこで、アマルガム除去を専門に行っている歯科の先生に母のアマルガムを除去して頂くことができました。40年以上悩んでいた体調不良から解放された母に「あなたも同じように困っている患者さんを助けてあげられないの?」と言われたことがきっかけでアマルガム除去をする決意をしました。

この様に母と私自身を助けて頂いて、この水銀問題と運命的な出会いを感じました。それから設備投資をしアマルガム除去を開始したのが去年です。様々な疾患や症状の治癒は、疾病の根本原因である安全なアマルガム除去無くしては、あり得ないと確信したので水銀問題(重金属問題)と分子栄養学を臨床に取り入れる事に迷いはありませんでした。



「患者さんを助けなきゃという思いが原動力になりました」

医科歯科連携やアマルガム除去の体制・設備を整える中で、苦労されたことはありますか?

何事も始めるまでが大変です。最低限のテキストはあっても、導入に関して具体的な指標になるものがなかったので、ひとつサプリメントを買うにしても点滴を揃えるにしても、ライン確保の手技にしても、どこの業者に頼んだらいいのかとか、下準備に難航しました。

日常の診療の忙しさもあって、なかなか準備を整えられなかったところに、遠方の患者さんからアマルガム除去の打診があったのです。その方は癌を患っておられ、手術に入る前にぜひ取っておきたいとのことでした。手術日は決まっており、タイトなスケジュールが提案されたことで一気に準備を進め、無事に安全なアマルガム除去をすることができました。

その患者さんは無事に手術も成功し、予後もとても良いとのご連絡をいただいて、とても嬉しく思っています。アマルガム除去の準備は患者さんに後押しして頂いた形で進めることができました。後から思えば、患者さんを助けたい!って気持ちが一番の原動力になったのだと思います。これから準備を始められる先生方は、患者さんを集めておいて、やらなければいけない環境にして後押しして貰うと頑張れるのではないでしょうか。

また最大の課題は血管のライン確保でした。患者さん一人ひとり異なりますし、体調によっても日々変わります。通常の歯科診療でライン確保などは行っておりませんでしたので、スタッフの腕をかり練習の日々。いくら練習しても、目の前の患者さんの血管を取れなければ意味がありません。その練習がとても大変でしたね。



次のページ「口腔内の不調を訴える患者さんが多くいて、その根本原因を追求していく中で分子栄養学に目をつけました」