鈴木形成外科

院長 鈴木晴恵 スペシャルインタビュー

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1984年 高知医科大学医学部(現 国立高知大学医学部)卒業
1984年~ 京都大学医学部附属病院形成外入局
1988年 大阪赤十字病院形成外科勤務
1988年~冨士森形成外科医院勤務
1990年~城北病院形成外科勤務、同時に複数の病院でレーザーや美容の専門外来を担当
2000年~鈴木形成外科院長
日本形成外科学会認定専門医(No. 89-0631)
麻酔科標榜医(No.5033)
酵素栄養学指導士(鶴見酵素栄養学)
ミネラルファスティングドクター(杏林予防医学研究所)
<主な所属学会>
日本形成外科学会
日本美容外科学会
アメリカレーザー医学会(Fellow)
日本皮膚科学会
日本臨床皮膚外科学会理事
日本美容皮膚科学会
日本レーザー医学会評議員
京都形成外科医会理事
国際分子整合医学学会International Society for Orthomolecular medicine


この地で開業したいきさつと、“鈴木形成外科”について


「昔からキレイなものを見ることや、手先を使ったものを作るのが好きだった」

形成外科医を志したのは、いつ頃、どのようなきっかけでしたか?

私がまだ学生だった頃は、「形成外科」という科を標榜しているところがまだ少なく、私が在学していた大学病院にもありませんでした。現在の形成外科で行うような手術は、耳鼻科、皮膚科、眼科、外科、整形外科など様々な科で行われていたのですね。ところが学生の頃、当時の京都大学の形成外科の一色信彦教授による講義を受けた時に、形成外科における手術前・手術後の写真を見せて頂きました。

その時のことは今でも覚えています。手術前の状態が、自分のメスでこんなにキレイに生まれ変わる――私にとって、非常に衝撃的な出来事だったのです。私は小さなころから、絵を描いたり、家の間取り図を描いたり、手芸や裁縫、お菓子作りや工作など何かものを作るということが大好きでした。手先も器用な方だったと思います。そして形成外科の教授の講義を受けたことで「よし!自分の手術で人をキレイにする医師になろう!」と決めました。これが、私と形成外科との出会いでした。それからは、とにかく手術が上手くなりたい、大きな傷も小さな傷もキレイに治したい、3次元ではなく動きもある4次元のアートを人の体で実現したい、そう考えて卒後郷里の京都に戻り、一色教室に入局しました。

皆さんは、形成外科と美容整形(正式には美容外科と呼びます)と何が違うの?と思われるかもしれません。「傷をキレイに仕上げる」という技術に関しては、どちらも同じ技術を用います。二つの違いは、「形成外科は負をゼロにすること」。つまり、正常ではない状態から、よりキレイで正常な状態に近づける、というものです。一方の美容外科は、「ゼロからプラスにすること」。つまり、正常であるものをより美しくする、というものです。

私が形成外科医をやっていて良かったと思うところはここにあります。形成外科の場合、正常では無かった患者様が、よりキレイに正常な状態に近づく、これが誰の目にも明らかで、良い結果に対しては患者様がとても喜んでくれるのです。私自身の努力やセンスを表現できる、大変やりがいのある仕事だと思っています。



「京都は私の出身地、そこでより多くの人へ美を提供したいと考えました」

この地で形成外科を開業された理由を教えて下さい

私自身は1984年に入局してから、いくつかの医療機関での勤務医をしていました。形成外科という科は、腫瘍を切除したり、それによる欠損部分を正常組織を使って修復したりするため、人の身体の表面にメスを入れる科です。傷跡をきれいにするのも仕事ですが、常に新たに傷跡を付けるということもします。研修医の頃から、皮膚にできる傷をキレイに仕上げるためには、医療機関で行う手術、保険診療だけで賄える技術だけでは足りない、治療が完結しない、と考えるようになりました。勤務医として医療機関に勤めているだけでは、なかなか納得のいく結果にならないこともありました。

しかし、本来は自分(医師)と患者様が同意すれば、現在の保険制度や習わしなどに縛られることなく、双方で納得のいく医療を提供するべきだと思うのです。それが私にとってのジレンマとなっていましたので、自分で開業することを考えました。もっと自由で患者様のためになる医療を提供したかったのです。

そこで考えたのが、メディカルエステとの併用です。1990年、当時勤務していた病院に治療補助としてスキンケアをする部門を置き、「メディカルエステ」と名付けました。2000年に発行された、皮膚科専門医のための専門書に「メディカルエステ」というチャピターを執筆させてもらいましたが、その中で私が考えた「メディカルエステ」の定義として、「医師の指導の下に治療補助として科学的理論に基づいて行うスキントリートメント」と書かせてもらいました。

1990年代は今でいう「美容皮膚科」の範疇に入る、さまざまな治療方法を開発したり、海外から取り入れアジア人向けに改良したり、それらに必要と考えた美容機器や有効成分、化粧品などを開発し、また、メディカルエステティックスクールを開講したり、多い時は年に10回くらい海外公演に呼ばれ、飛び回っていました。日本で最も有名な某エステチェーンを始め、美容機器の会社など5つくらいの会社の医療顧問を同時に引き受けていました。私は1998年に自宅で、2000年からはここ三条京阪で開業していますが、開業当初からクリニックにメディカルエステを併設し、実践してきました。2000年代になり、メディアでも「メディカルエステ」という言葉が一般的に使われるようになったと記憶しています。2006年には美容皮膚科が正式名称として認められ、標榜科になりました。

メディカルエステのポイントは、元々あるスキントラブルにも対応できること。形成外科の手術でキレイに縫合しても、元々のスキントラブルがある場合は、あまりキレイな仕上がりにはなりにくく、患者様に満足して頂けることをモットーとしている私にとっては、もっとキレイにしたい!もっと美しい肌を取り戻してほしい!という強い思いで実現したのです。

また、1992年にはアメリカで開発されたばかりの入れ墨除去用レーザー装置を日本に導入し、これを「青あざ」の治療に応用しました。形成外科で多い症例としては「あざ」や血管腫がありますが、いずれも日焼けや色素沈着があってはよい治療ができません。1回目の治療時に日焼けがなくても、レーザー照射の刺激により色素沈着を生じることはしばしばあります。この場合、メディカルエステで色素沈着を取り除き、その上でレーザー治療を行うことで、治療期間を短縮し、副作用を生じることなく、キレイに仕上げることができます。

2000年にこの地に鈴木形成外科を移し、複数の病院で引き受けていた専門外来を退職し、開業に専念することにしました。この地を選んだ理由は、私が元々京都の出身だったから。大阪や滋賀からのアクセスの便利な三条駅からも近く、道を渡れば祇園、橋を渡れば先斗町に、木屋町に、河原町の繁華街。それでいて鴨川や大文字を望む、景観豊かな場所でもあります。程よくにぎやかで風情があるこの町、そしてこの地域が大好きだからです。



「眼瞼下垂やあざや血管腫の治療を中心に、美容の施術も行っています」

鈴木形成外科で多い症例はどのような患者様ですか?

私はクリニック開業当初から「侵襲の少ない治療から(侵襲の多い)手術まで、いつも知識と腕を磨き、常に患者様の要求に最高レベルで答えられるように準備する」というモットーを掲げています。私どもの一連のケアにより、一人でも多くの方の心の痛みを解消し、健やかで美しい人生を送っていただきたいと考えています。

現在では、手術の8割が眼瞼下垂症など、眼瞼(まぶた)の手術になります。眼瞼下垂はまぶたが下がっていれば分かりやすいのですが、必ずしもそうとは限りません。見た目上はあまりまぶたが下がっていなくても、眼瞼を持ち上げる筋肉が上手く働いておらず、ひどい頭痛を訴える人も多くいます。肩こり、頭痛、疲労感、顎関節症、うつ症状、とだんだん症状がひどくなり、起き上がれなくなってしまうのですが、病院で様々な検査を受けても異常がなく、睡眠薬や抗うつ剤を多数投与されているケースが多くあり、副腎疲労のケースと相通ずるものがあります。症状があるのに他の病院で原因が分からない。患者様がご自分で色々と調べるうち、もしかしてこれは眼瞼下垂症なのではないか、と当院を訪ねて来られる方もいらっしゃいます。京都府だけではありません。全国各地からもいらっしゃいます。

他に多いのは、赤ちゃんの「あざ」や血管腫です。0歳から1歳が中心ですが、10台以上あるレーザー装置を使って、メディカルエステと併用しながら、跡を残さない治療を行っています。形成外科の手術としては、副耳や複雑で無い多指症など、小さな奇形ならば寝返りを始める生後5か月までに局所麻酔で行うことがありますが、多くは5歳から80代までの方です。当院では予防的抗生剤投与は極力行わず、事前にサプリメントなどを飲んで頂き、免疫力を高めてから手術を行うことが多いですね。高濃度ビタミンC点滴の併用もお勧めします。

また、患者様の抱えるお悩みとしては、ニキビや慢性湿疹などのスキントラブルは10代から、しみやしわやたるみなどは30代から患者様が増えてきます。永久脱毛は20代の方が多いです。

また、当院には各種レーザー装置が10数台あり、様々なタイプの「あざ」や血管腫に対応しています。赤あざ、青あざ、苺状血管腫(いちごじょうけっかんしゅ)は治療開始が、早いほど良い結果が得られます。昨今のレーザー装置の発展により、1回の照射時間が非常に短くなりましたので、赤ちゃんのうちならば全身麻酔なしでの治療が可能となりました。あざの種類によりどこまで治るかの差はありますが、あせらず丁寧に治療を続ければ、多くのあざは跡形もなく除去することができます。現在は保険も適応されています。「あざ」の種類により何回まで保険適応できるかが違ってきますが、どこまで治すか、どこまでキレイにするかを患者様と相談しながら、適切な方法で治療しています。多くのあざは治療開始年齢が若いほどあざが完全に早く取り除きやすいです。また、「あざ」のあるお子さんの精神的発達を助け、保護者の精神的負担を軽減するためにも、「あざ」や血管腫の治療は、赤ちゃんのうちから始めることをお勧めしています。



「身体本来の美しさを取り戻す、点滴療法、栄養療法、ドクターズコスメの開発も行っています」

他に、鈴木先生がクリニックを通じてご提供されているものはありますか?

当院では形成外科的な手術、メディカルエステのほか、高濃度ビタミンC点滴療法、グルタチオン点滴療法も行っています。高濃度ビタミンC点滴療法は、抗酸化作用、コラーゲンの合成促進のほか、免疫力を高める、ストレスに強くなる、身体に対する解毒作用などの効果があります。グルタチオン点滴療法は、年齢とともに低下するグルタチオンを補充することで、抗酸化作用が期待できますし、高濃度ビタミンC点滴療法と併用することで、身体の中で古くなったビタミンCを元の元気な形に戻す効果が期待できます。グルタチオンには肝臓での解毒作用を補強する効果もあります。

また、栄養療法として、患者様の症状と様々な検査結果をもとに、その患者様に合った食事・サプリメント・不要なものの除去を、患者様と一緒に考えています。当院では栄養外来を設けていますが、まず患者様の症状をお悩みをうかがいながら、スクリーニングとしてメタトロンという機械での検査を行います。さらには、必要に応じ、指先血流検査、血管年齢検査、血液検査、尿検査、便検査、毛髪検査、オリゴスキャンなどを行い、今の身体の状態を予測し、患者様と話し合ったうえ、治療方針を考えて行きます。患者様一人ひとりに合った内容を指導させて頂きます。食事やサプリで身体に不足していると思われる栄養素を積極的に取込んでいきます。しかしながら、それ以前に「不要なものを除去する」ということが大切だと考えています。口腔内を診察し、必要に応じ歯科をご紹介するのはそのためです。

さらにドクターズコスメの開発・販売も行っています。私がドクターズコスメの開発を始めたのはここで開業する以前のことです。研修医の頃からメディカルエステの考え方は持っていましたが、それに見合う化粧品がなかなか見つからず、「売っていないけど、あったら良いな」と自分自身が考える化粧品を院内処方として患者様に提供していました。初めて化粧品を商品化したのは2000年です。それから14年、現在では私が開発した化粧品は10種類以上となりました。すべて当院で入手して頂くことができます。



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