鈴木形成外科

鈴木先生の考える医科歯科連携とは


「口腔内と身体は密接に繋がっているからこそ、どちらか1つでは解決しません」

患者様にとって、医科歯科連携の大切さはどこにありますか?

私は医師ですので、何かしらの悩みを抱えてこられた患者様に対しては、全身の状態を視ます。例えば、栄養外来初診の方の場合、メタトロンを用いた全身スクリーニングに加え、口腔内も必ずチェックしています。その上で、アマルガムの影響や歯根管感染が疑われる場合には、専門の歯科医を紹介しています。こちらで重金属検査を行うこともできますが、まずは歯科を受診して、口腔内を詳細に検査し、アマルガム除去・歯根管感染の治療を行うことが先決だと考えています。

みなさんは、歯は歯医者、スキントラブルなどは形成外科、内臓の不調は内科、というようにお考えになるかもしれません。しかし口腔内の状態と全身の状態は非常に密接に関係しており、口腔内に問題がある場合は、その解決なくして全身状態の改善は難しく、さらにはスキントラブルを改善するのは難しいのです。

ところが、一般にはまだまだ医科歯科連携という考え方が広まっておらず、当院で安心して口腔内のアマルガム除去などを依頼できる歯科医はほんの数件しかありません。この手技はどの歯科医院でも行えるものではありません。アマルガムを除去する瞬間に、不要な重金属が患者様の口腔内にばらまかれたり、気道から吸い込まれてしまうことが無いよう、細心の注意を払う必要があります。また施術する歯科医の方でも、自らの身体を守るために、使い捨ての手袋やガウン、感染予防用のマスクやゴーグルなどを身に付ける必要があるのです。



「京都近郊にはとても少ない…医科歯科連携には地域差もあるかもしれません」

医科歯科連携を行っている歯科医は、どこに行けばありますか?

歯科治療が全身状態に及ぼす影響についてしっかりと理解しつつ、患者様の安全および医療従事者側の安全対策をしっかり行っている歯科医は、当院の近くには無く、関西圏でもまだ数件しかありません。そこには恐らく、地域格差という問題もあるかもしれません。例えば東京近郊であれば、もっと医科歯科連携診療が可能な歯科医は多いでしょう。私のような形成外科だけではなく、他科でも栄養療法を実践しておられる先生方も多いかと思います。ですが、私のところへは京都近郊だけではなく日本全国から、或いは、遥か海外からも患者様がお見えになります。

患者様の多くは眼瞼下垂症や「あざ」に悩んでいらっしゃる患者様ですが、その患者様に口腔ケアが必要だとしても、当院でご紹介できる歯科医がかなりの距離のある所となってしまいます。口腔内の状態を改善してから栄養指導や形成外科的治療を行いたい、でも紹介できる歯科医がとても遠いから患者様も躊躇してしまう――。この辺りが患者様側から見た場合でも、医科歯科連携診療に取り組む上でのハードルになってしまっているのです。私にとっても一番の悩みの種でもあります。

しかしそこはやはり結果が大事。私はなんとか患者様にご理解頂けるようにお話し、これまでも多くの患者様を信頼できる歯科医へ紹介してきました。私が紹介させて頂く歯科医の先生のことは、全面的に信頼しております。私がそこでしっかりと口腔内の状態観察、必要な治療やケアを行って頂き、それから当院で栄養指導や形成外科的な治療を受けた方は、みなさん満足のいく結果となっています。



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