鈴木形成外科

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鈴木形成外科
〒605-0009
京都市東山区大橋町89-1
鈴木形成外科 TEL: 075-752-1533
(メディカルエステ TEL: 075-752-1603)

<アクセス方法>
京阪電車三条駅9番出口上がって左
地下鉄東西線三条京阪 1番出口上がって右すぐ 三条通り北側

<クリニックホームページ>
http://haruesuzuki.com/


鈴木先生と分子栄養学の出会い


「3年前の震災をきっかけに、食について深く考えるようになりました」

先生が初めて分子栄養学を知った時のことを教えて下さい

私がまだ学生だった頃は、「分子栄養学」という学問はありませんでした。医学を学ぶ上で、栄養素と身体の中での働きについては細胞生理学の授業などで学んだと思いますが、栄養学という授業もありませんでした。

しかし3年前の東日本大震災の後、食物や水に含まれる放射性物質が、身体にどのような影響を与えるのか、医師として女性として母として、深く考えさせられた時期がありました。私は海外にも友人知人が多いのですが、震災直後には彼らから即座に海外へ来るように勧められました。

しかし、一時期は遠く太平洋を渡ったアメリカでも放射性物質による汚染の可能性が問題となっており、海外だからといって安全なのか、そもそも日本の食料はどうなのか、非常に深く考えるに至ったのです。ちょうどその頃、かねてより親交のあった医師から、分子栄養学のことを聞きました。彼は開業して間もなく自分が慢性疾患を患ったのですが、薬を内服することで検査データが正常値となっていても身体がだるく、気分がすぐれない時期があったそうです。そこで彼は、分子整合栄養学を学び、これにより自分の病気の治療を試みました。すると慢性疾患が改善に向かったというのです。

その話を聞いて、私は目から鱗が落ちる思いでした。これをきっかけに、根本的に自分や家族の食生活を見直しました。すると、コンビニエンスストアのお弁当やファーストフード、ファミレス、デパ地下の惣菜、インスタント食品などに頼っていた食生活がいかに体に悪いものであったか、調べて行くうちに愕然とし、家族に申し訳ない気持ちになりました。放射能に汚染されていない食物は何か――。これをきっかけに、何を食べれば身体にとって本当に安全なのか、健康に最も良い食生活はどのようなものなのか、を追及するようになりました。手あたりしだいに勉強を始めました。

今も尊敬する分子栄養学やホリスティック栄養学、酵素栄養学の師たち。彼らに共通する教えは、「牛乳は人の身体には良くない」ということ。私自身はまず、牛乳を断つことから始めました。すると、元々あった体調不良、貧血、めまい、食後の眠気、肩こり、肌の不調などが改善したのです。女性であれば誰でも下痢や便秘に悩まされることもあると思いますが、これらもいつのまにかすっかり良くなりました。これが私と分子栄養学との出会い、効果を実感した最初の出来事でした。



「栄養療法外来を経験される方は、みな体調不良が改善されています」

分子栄養学を日々の診療に取り入れることで、何が変わりましたか?

例えば、10年以上ニキビが治らないと訴えておられた40代の女性が、食事指導、アマルガム除去、短期間のサプリメントとビタミンCの点滴注射により、ニキビやフェイスラインのむくみが改善しました。そればかりではなく、慢性疲労、頭痛、肩こりなどの症状も改善しているそうです。また、アトピー性皮膚炎があり、赤あざの治療がなかなか進まなかった幼稚園児のお子さんは、乳製品を止めてもらったことで、何年もステロイド薬を使っても改善しなかった慢性湿疹が、すっかりキレイに治りました。

こういった症例から考えても、私のクリニックで行っている「栄養指導」には、アトピー性皮膚炎、慢性湿疹、肌荒れ、ニキビ、しみ、くすみ、たるみ、赤ら顔、脂性など、多くの人が抱えるスキントラブルに効果があると実感できます。また、ダイエットが上手く行かない、むくみを解消したい、部分的にやせたいなど、表面的な問題を抱えた患者様も多くみえますが、よくお話を聞いてみると実は便秘、全身倦怠感、頭痛、肩こりなど身体的な問題も多く抱えているケースが多いのです。その根本にはやはり普段からとっている「栄養」という問題があり、栄養療法、栄養指導を実践することで、全てが改善するかもしれません。逆にいえば、形成外科だけではなく、美容皮膚科的な治療やメディカルエステ、場合によっては歯科での口腔ケアを併用するだけでは、根本的な解決にはならないのではないかと考えています。

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クリニックでは参考となる書籍が閲覧できる



「当院のスタッフは全員、自ら進んで栄養療法を取り入れています」

鈴木先生以外のスタッフの方も、栄養療法を熱心に勉強されていますよね?

私自身、分子栄養学を自分の生活に取り入れてから、様々な変化がありました。今では体調の面でも健康を維持できていると感じます。私が知り得た知識や経験を、外の方にお伝えし、多くの方の健康や美容に役立ててもらいたいと考え、CHOICEで定期的に勉強会を開いています。元々、形成外科、美容皮膚科の分野では国内外で多くの講演や執筆活動をしてきました。新しく取り組み始めた栄養学においては、地域に根差した啓蒙活動を行っていきたいと考えています。

またこのような変化は私だけではなく、当院のスタッフにも影響を与えているようです。中森医師、満田看護師、森下看護師、(併設しているレストランCHOICEの)関留マネージャー、堀江キッチン責任者をはじめとする、28名のスタッフ全員が、自ら進んで熱心に栄養療法を勉強しています。日常的にどのような栄養を身体に取り込むのか、これは自分のこと、家族のこととして直面する問題ですよね。彼女たちはみな率先して積極的に学ぶことに喜びを感じているようです。それぞれの持ち場で、患者様やお客様に勉強してきたことを伝え、有効的に活用してくれています。

例えば、私自身の構想として、当初はレストランの併設は全く考えていませんでした。古びたクリニックビルの内装と外装を直すため、2011年の初めから工事にかかっていたところ、あの震災が起きました。私はそれから食べ物と栄養について学び、食の大切さに気が付き、レストランまたは料理教室など、食に関する施設を併設したいと考えつき、そのためにワンフロア増やそうと考え、改装中のビルを取り壊し、建て直すことにしました。

そこから手あたりしだい勉強を始め、エステティシャンのチーフを務めていた関留や満田看護師とともにあらゆる勉強会や講義を拝聴し、他のすべてのスタッフを巻き込み、本を読んだり講師を招いて勉強をしたり、講演会や勉強会に出かけ、料理教室にも行きました。どのような料理がよいのか?いろんなジャンルの料理家の方々と会いましたが、結論が出ません。それは、我々が食と栄養について学んでいる途上にあったので、刻々と考えが変わって行ったことも理由の一つです。いっしょにやっていけそうだ、と考えた料理家と話を詰めていく際中にも、私たちの食に対する考えが変化して行くのです。

2012年の暮れ、2年近く皆で勉強したところで、開店が5か月後と差し迫ってきたとき(実際には工期の延長で開店はさらに3か月遅れました)、私は関留に食の部門のマネージャーを引き受けてくれるように頼みました。CHOICEも我々と一緒に進化させていきたいから。

皆で勉強すること2年半――。2013年9月に、当初の予定より2年以上遅れましたが、念願のレストランCHOICEをオープンすることが出来ました。

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中心となるスタッフのみなさん



「分子栄養学の先進国、アメリカでの体験はとても素晴らしいものでした」

実際に先生が拝聴された講義などで、印象に残っているものを教えてください

分子栄養学に出会ってからCHOICEをオープンするまでに拝聴した講義は多数ありましたが、中でも私がCHOICEで提供、推奨する料理のカテゴリーをveganにするとする判断を決定づけたのが2011年11月に訪れた、アメリカの北カルフォルニアのサンタローザでのJohn McDougall先生のプログラムでした。

John McDougall先生はご自身、典型的なアメリカの食生活で育ち、1965年、18歳で2週間の完全な左半身マヒを生じた脳梗塞に見舞われました。その後医学部に進み、ハワイでアジアからの移民を診療するプランテーション医として従事した経験を通じvegan食、しかも、“Plant based Whole Foods diet”が心臓病だけではなく、あらゆる生活習慣病を改善することを学ばれました。1986年に根本治療のための食事指導を行うため呼ばれた、循環器病治療で有名なNapa Valley のseventh Day Adventist St. Helena病院での16年間の勤務を経て、2002年からは独立してナースである奥様のMaryさんはじめ、ご家族と共にSanta RosaのFlamingo Resort and Spaでのプログラムを開始されました。

McDougall先生の患者になるためには10-Day Live-in Programに参加する必要があります。このプログラムでは毎日、食と栄養、環境と精神の健康と病気に対する関与について先生方から講義を受け、皆で運動をしたり、料理を習ったり、クッキングウェアのショッピングに行ったりします。初めにごくシンプルな検査を受けます。先生が乳製品摂取と多発性硬化症の発症の研究に携わっておられることや、クリントン元大統領の心臓疾患と脳卒中からの回復を助けられたことも、スティーブ・ジョブスの食生活と病気の真実もこの時の講義で知りました。

私はそれ以前に、“The China Study”という、現代の栄養学のバイブルともいえる書籍を読み、アメリカ人に病気が増えた理由が何なのか、また中国のウシの居ない地域では乳癌が居ないなど、人が摂取する食品と疾患との関係について学んでいたところでした。その過程でMcDougall先生のLive-in Programのことを知り、是非とも体験してみたいとアメリカに渡ったのです。

渡米する前から私は日本の分子栄養学の先生のアドバイスで、鉄のサプリメントを服用していました。血液検査で、貯蔵鉄を表すフェリチン値が低いと言われたからです。McDougall先生にそのことを告げると、温和な先生が強い口調で、「今すぐその毒を体に入れるのをやめなさい」と言われました。また、私は牛乳の摂取はやめていたものの、育ち盛りの子供のタンパク源に必要なのではないかと考え、チーズを食卓に上らせていました。

whole foodsで食べればplantのみで、健康に育つということが、逞しく優秀な医師に育たれたMcDougall家の2人の息子さんとMcDougallプログラムの運営に携わっておられる美しい御嬢さんのHeatherさんおよび、5人のお孫さんたちが証明されています。私は、Choiceで推奨していくべきはPlant based Whole Foodsによるvegan食であることを確信しました。

フェリチン値に関しては、高く持っていくことに重点を置いている日本の多くの分子栄養学者と如何に低くするかと考えられるMcDougall先生の意見が真っ向から対立することからその後悩みましたが、このことは2013年の1月に宮澤賢史先生に出会うことにより、フェリチンは無理やり高める必要がないとの確信を得て、すっきりしました。

2011年の震災をきっかけに、学び始めた分子栄養学ですが、私達は今、分子栄養学に留まることなく、環境(植物が育つ環境や人間を取り巻く環境)や精神など栄養素がからだに取り込まれるまでの過程も大事に考えるホリスティック医学の考えや、取り込まれた栄養素が活用されるのを阻んだり、解毒を妨げる遺伝子を調べ、遺伝子タイプに応じた最適の食生活を考えるなど、学ぶことは増えていく一方です。



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